アーツセラピーの歴史

アートセラピーという言葉が出てきたのは、20世紀の中頃からです。

フロイトの無意識の発見から、アートの世界も様々な発展をとげていきます。

ダリやキリコなど、シュルレアリスムの作家達の作品を思い浮かべていただくと、奇妙な表現の世界ではありますが、彼らの表現する世界は、無意識の世界であったり、夢の中の世界であったり、非現実的な世界ではありますが、何かしら知っている感覚を呼び覚ます作品です。

また、シュールレアリズムの父と言われているアンドレ・ブルトンはオートマティズム(自動記述)と言う方法を重視し、またジャクソン・ポロックのドロップペインティングと言う技法も、意識のコントロールをあえて外して、無意識の世界を表現しようとしたものです。

また、ピカソなどもとりいれているコラージュの技法も、シュルリアリスムの画家、マックスエルンストにより、導きき出されました。その他には、フロタージュ(擦りだし)、デカルコマニー(転写)、グラッタージュ(引っ掻き)など偶然性を期待した技法も、アートセラピーの中でも用いられています。

また、ブルトンの自動記述は、彼は詩人でしたので言葉を対象としていますが、もちろんアートセラピーの中で、自動記述により言葉を導きだす手法は用いられています。

 

 

しかし、その無意識の世界をさらにさかのぼると、神話の世界へと踏み込んでいきます。

前述の部分は、主に20世紀に入り、絵画造形表現の中でのアートセラピーとの関連について描きましたが、

原始のアート表現の場は、絵画造形だけでなく、歌い、踊り、演じ・・・といった他のアートの表現形態も含めてみていくことができます。

 

シャーマニックな儀式、祭りの場、そこにはいつも

色鮮やかな造形物、音楽、踊りなど、さまざまなアートが繰り広げられていきます。

この行為は、まさにアーツ表現セラピーの中でやっていることです。

 

祭りの場では、非日常の様々な祭り事の仕掛けの中で、日常のケガレを祓い、 人々は日々の暮らしの中で溜まっていた様々なストレスの発散をし、あらたな希望にむかっていくために、神に祈りを捧げ、希望を取り戻してまた日常の生活へと戻っていきます。

日常より、人々の心の垣根がはずれ、心から通じ合い、共同体としてのお互いの存在に感謝できる時間でもあったでしょう。

 

現代社会はこの、祭りの要素がどんどんと消えていってしまってい、自然との繋がりも断たれ、人々は孤立し、不安な日々を送っている人々が増えているように思います。

 

アーツセラピーの歴史は、祭り事の歴史として、見ていくことができると考えています。

 

以下の記事をご参照下さい。

 なぜ人は、歌い、踊り、演じるのか