シャーマンとは、さまざまな文化や伝統において、特別な知識と技術を持ち、霊的な世界との仲介役を果たす人物を指します。シャーマンは通常、病気の治療、予言、精霊とのコミュニケーション、儀式の主宰など、多岐にわたる役割を担います。
シャーマニズムは、世界中の多くの異なる文化に見られます。アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパなど、さまざまな地域で独自のシャーマニズムの伝統が発展してきました。特に、シベリア、アメリカ先住民、アフリカの部族などで広く認知されています。
現代でもシャーマニズムは続いており、特に代替療法や精神的な成長を求める人々の間で人気があります。多くの現代のシャーマンは、伝統的な技術を学び、現代社会のニーズに合わせて適応させています。
ミルチャ・エリアーデは、シャーマニズムに関する研究で著名な宗教学者で、シャーマンの二つの主要な状態である「脱魂」と「憑依」について詳述しています。これらの概念をわかりやすく説明します。
脱魂は、シャーマンが意識的に自分の魂を肉体から解放し、異なる霊的な領域へ旅する状態を指します。この状態では、シャーマンはトランス状態に入り、意識を変性させて以下のような行為を行います。
憑依は、逆に精霊や他の霊的存在がシャーマンの身体に入り込み、その存在の意志や力をシャーマンを通じて表現する状態です。この状態では以下のような現象が起こります。
エリアーデは、これら二つの状態がシャーマニズムの核心であり、シャーマンが霊的な世界と物理的な世界をつなぐ重要な役割を果たしていると説明しています。シャーマンは、これらの能力を通じてコミュニティに霊的な知識や治癒をもたらし、社会的な安定と精神的な指針を提供します。
シャーマンたちが、その道具として用いられていたのが主にアートです。
音や歌、ダンス、そして、色とりどりの衣装や装飾品、など
それぞれの地域、環境や文化に応じて、様々ですが、
音の振動(周波数)であったり、ダンスなどによる体の動きは、
人の心や体に影響を与えるものだという事は、現代科学でも研究されていますし、
色彩は、単に視覚的な意味合いだけではなく
様々な色の染料となっていたものは、薬効を持っていたものがほとんどです。
長年にわたって経験的な中から見出されたものだったのだと思いますが、
それは決して、不可思議なもの、説明のつかない霊的なものばかり、というわけではありません。
近年は、アートは趣味や嗜好的なものとして捉えられていますが、
アートは、
問題を解決する装置としての役割があり、
困難を乗り越えて、生きていく上で、欠かせない道具だったのです。
「シャーマン的生き方をしょましょう!!」という提案は
本物のシャーマンになりましょう!!とのご提案ではありません。
シャーマンと呼ばれる人たちが使っているエッセンスを、日常に取り入れることで
日々の暮らしが豊かになり、
自分自身を信頼して生きれるようになります。
自分自身の持てる力を信頼して、他者と関わることができるようになります。
どんな場所、どんな状況においても、その場を信頼し、楽しみ尽くせる
苦しみの場にあったとしても、プロセスを信頼し、創造的に今を生きている
人知を超えた自然の力、自分より大きな存在を信頼し、その力とつながることができる
言葉にしようとすると、怪しくなってしまうのですが、
特殊なことではなく、
当たり前にしっかりと今を生きている、生きることができる
というのが、シャーマン的生き方の定義になると思います。
そして、アート表現を用いていくことは、
シャーマン的生き方のプロセスを促進してくれるのです。